先取特権
民法上特に保護する必要性の高い債権を、他の債権に優先して弁済を受ける権利です。
法廷担保物権です。
付従性、随伴性、不可分性、物上代位性、優先的弁済効力を有します。(留置権、収益的効力を認められません。)
先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
種類
一般の先取特権
債務者の財産の上に成立します。
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。
雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する。
葬式費用の先取特権
日用品供給の先取特権
日用品の供給の先取特権は、債務者又はその扶養すべき同居の親族及びその家事使用人の生活に必要な最後の六箇月間の飲食料品、燃料及び電気の供給について存在する。
動産の先取特権
債務者の特定の財産の上に成立します。
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する。
不動産の先取特権
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の不動産について先取特権を有する。
不動産工事の先取特権
2 工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない
不動産売買の先取特権
不動産の売買の先取特権は、不動産の代価及びその利息に関し、その不動産について存在する。
不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない。
株式会社J.P.A.(Japan Progress Agency)
留置権
要件
債権者が他人の物(動産・不動産)を占有していること。(他の第三者の所有物を含みます。)
その物に関して生じた債権を有していること。(債権と物の牽連性)
物権性
留置権は目的物が不動産でも登記はできず、登記がなくても第三者に対抗できます。目的不動産が第三者に売り渡された場合でも、留置権は継続します。(最判S47.11.16)
担保物権性
付従性・随伴性・不可分性・留置的効力を有します。
物上代位性や優先弁済を受ける効力はありません。(留置物の競売は認められています。(形式的競売・民事執行法195条))
効力
引換給付判決
債務者が留置物の返還を求めて訴訟を提起した場合、この訴訟において債権者が抗弁として留置権を主張したとき、裁判所は債務者の返還請求を棄却することなく、債権者に対して、債務者から被担保債権の弁済を受けるのと引換に、留置物の引渡を命じる判決(引換給付判決)をなすべきであるとされています。(最判S33.3.13)
果実収取権
※法廷果実も含まれます。(判例)
留置物の保管義務
※当然に消滅するわけではありません。
留置権者の費用償還請求権
※この必要費の返還を受けるまで留置権は行使できます。(最判S33.1.17)
留置権の消滅
株式会社J.P.A.(Japan Progress Agency)
担保物件
種類
留置権・先取特権(法廷担保物件(法律上当然に成立する。))
質権・抵当権(約定担保物件(当事者の約定(契約)によって成立する。))
付従性
被担保債権が成立しなければ担保物件も成立せず、被担保債権が消滅するとその担保債権も消滅します。
随伴性
被担保債権が他人に譲渡されると、担保物権もそれに伴い移転します。
不可分性
担保権者は、被担保債権の全部が弁済されるまで、目的物の全部についてその権利を行使できます。
物上代位性
担保権者は、目的物の売却・減失・損傷などにより、債務者が受ける金銭その他の物に対して権利を行使できます。
担保物権のうち目的物の交換価値を把握して、それから優先弁済を受けることを内容とするもの(先取特権・質権・抵当権)が有する性質です。
優先弁済的効力
被担保債権が任意に弁済されない場合に、担保目的物から他の債権者に優先して弁済をうけることができる効力です。(先取特権・質権・抵当権が有します。)
留置的効力
担保権者が、債務の弁済を受けるまで目的物の占有を継続することによって、間接的に債権の弁済を強制できる効力です。(留置権と質権が有します。)
収益的効力
担保権者が目的物を使用収益できる効力です。(原則として不動産質権のみが有します。)
株式会社J.P.A.(Japan Progress Agency)
用益物権 地役権
地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。
便宜を受ける土地を要役地、便益を供する土地を承役地といいます。
要役地は一律の土地でなければなりませんが、承役地は、一律の土地の一部でもかまいませんし、隣接している必要もありません。
随伴性・附従性
時効・取得
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
※継続的行使されていると認められるためには、通路が要役地の所有者によって開設されている必要がありあます。
株式会社J.P.A.(Japan Progress Agency)