非典型担保
民法上は担保権として規定されていませんが、実質的に担保機能を内在されている権利で、判例上も一定の承認を得れています。
譲渡担保
金銭債務を担保するため、債務者所有物の物の所有権を法形式上債権者に移転させる方法です。
債権者への所有権移転という形式をとりますが、多くはその後も設定者(債務者)がその目的物を使用続けます。
所有権留保
売買代金が完済されるまでは目的物の所有権を売主に留保していく方法です。
自動車の割賦販売などが例に挙げられます。
仮登記担保
金銭等の借入に対して、債務者(担保提供者)所有の不動産をもって弁済に代える(代物弁済)という契約をし仮登記をします。
停止条件付代物弁済、代物弁済予約等の形式が用いられます。
債務不履行後、2か月の清算期間を経過後、目的物の所有権が債権者に移転します。(仮登記担保契約に関する法律2条1項)
代理受理
債権等の権利を担保の目的にします。
例えば、AがBに対して融資を行う場合、BのCに対する金銭債権の弁済受領の委任を受けて、Aの融資金の弁済に充当する方法です。
株式会社J.P.A.(Japan Progress Agency)
根抵当権・3
抵当権の処分
元本の確定前においては、根抵当権者は、第三百七十六条第一項の規定による根抵当権の処分をすることができない。ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない。
2 第三百七十七条第二項の規定は、前項ただし書の場合において元本の確定前にした弁済については、適用しない。
※転抵当に関しては可能です。ただし、元本確定前に原抵当権者に弁済をした場合でも、弁済による被担保債権の消滅をもって転抵当権者に対抗出来ます。
譲渡
全部譲渡
元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。
2 根抵当権者は、その根抵当権を二個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。
3 前項の規定による譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。
※全部譲渡をすることによって譲渡人の債権は一切担保されなくなります。
分割譲渡・一部譲渡
元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権の一部譲渡(譲渡人が譲受人と根抵当権を共有するため、これを分割しないで譲り渡すことをいう。以下この節において同じ。)をすることができる。
※分割譲渡のみ利害関係人の承諾も必要です。
根抵当権の共有
根抵当権の共有者は、それぞれその債権額の割合に応じて弁済を受ける。ただし、元本の確定前に、これと異なる割合を定め、又はある者が他の者に先立って弁済を受けるべきことを定めたときは、その定めに従う。
2 根抵当権の共有者は、他の共有者の同意を得て、第三百九十八条の十二第一項の規定によりその権利を譲り渡すことができる。
共同根抵当権
第三百九十二条及び第三百九十三条の規定は、根抵当権については、その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をした場合に限り、適用する。
※「同一の債権」とは債権の範囲、債務者、極度額がすべて同一のことです。
変更
前条の登記がされている根抵当権の担保すべき債権の範囲、債務者若しくは極度額の変更又はその譲渡若しくは一部譲渡は、その根抵当権が設定されているすべての不動産について登記をしなければ、その効力を生じない。
2 前条の登記がされている根抵当権の担保すべき元本は、一個の不動産についてのみ確定すべき事由が生じた場合においても、確定する。
優先弁済権
数個の不動産につき根抵当権を有する者は、第三百九十八条の十六の場合を除き、各不動産の代価について、各極度額に至るまで優先権を行使することができる。
※共同担保にならない累積式根抵当権の場合は適用されません。
元本の確定事由
・確定期日が到来したとき。
・相続の場合に合意の登記をしなかったとき。(6ヵ月以内にしなかった場合は、相続開始のときに元本が確定したものとみなされます。)
・合併の場合に設定者が確定請求をしたとき
・会社分割の場合に設定者が確定請求をしたとき
・設定後3年経過後に設定者が確定請求をしたとき
・根抵当権者が確定請求をしたとき
根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から二週間を経過することによって確定する。
2 根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。
3 前二項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない。
・根抵当権者が抵当権を実行したとき
・根抵当権者が滞納処分による差押をしたとき
・他の債権者の申し立てによる抵当不動産の競売手続き等を知ったとき
・債務者または設定者の破産
三百九十八条の二十 次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
一 根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第三百七十二条において準用する第三百四条の規定による差押えを申し立てたとき。ただし、競売手続若しくは担保不動産収益執行手続の開始又は差押えがあったときに限る。
二 根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき。
三 根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき。
四 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2 前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。
極度額減額請求
第三百九十八条の二十一 元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。
2 第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権の極度額の減額については、前項の規定による請求は、そのうちの一個の不動産についてすれば足りる。
根抵当権消滅請求
元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。この場合において、その払渡し又は供託は、弁済の効力を有する。
2 第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権は、一個の不動産について前項の消滅請求があったときは、消滅する。
3 第三百八十条及び第三百八十一条の規定は、第一項の消滅請求について準用する。
※主たる債務者・保証人及びこれらの承継人・条件成否未定の間の停止条件付権利取得者については、消滅請求できません。
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