海上自衛隊いじめ訴訟



 

海上自衛隊の文書隠し

 

海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」に勤務していた1等海士=当時(21)

が平成16年に自殺したのは先輩隊員のいじめが原因として、

遺族が国と先輩の元2等海曹(43)に

計約1億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決があった。

鈴木健太裁判長はいじめと自殺の因果関係を認め

「上司が調査や適切な指導をしていれば、自殺は回避できた可能性がある」として、

国と元2曹に計440万円の賠償を命じた1審横浜地裁判決を変更、

賠償を約7300万円に大幅増額した。

また、1士が自殺をほのめかす発言をしていたことなどから、

上司らは「自殺を予見することが可能だった」と判断。

さらに、乗組員アンケートや事情聴取メモなど、

重要な文書を海自側が違法に隠匿したと認定、20万円の賠償を認めた。

 

3佐の告発 異例の声明

 

この裁判では海上自衛隊で行った、

いじめについての調査アンケート結果が隠蔽されていた。

当初、海自側は文書は破棄したといい、一審では存在を不定したが、

高裁では3佐の告発を受け、当時、海自トップだった海上幕僚長が存在を認め、

国もこれに続き、高裁に200点以上にも及ぶ、アンケート結果を高裁に提出した。

内閣府の情報公開・個人情報保護審査会が

「組織全体として不都合な真実を隠蔽しようとする傾向にあった」

と異例の声明を出した。

 

国が隠蔽を認める

 

この裁判は国が隠蔽を認めた稀有な例。

国側(組織)は滅多に非を認めない。

例えば、アメリカとの密約がないと当時は言い切り、

後にアメリカでその当時の密約が書かれた

文書が公開されたとしても、

国は文書の存在をいまだに認めてない例もある。

さらに、現在は特定秘密保護法が法案を通り、

隠蔽体質が強化されたと思われる。

この暴かれた真実は氷山の一角でしかないだろう。