売買
第五百五十五条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
※諾成・有償・双務契約になります。対価は金銭に限られます。(金銭以外のものを対価とする場合は交換となります。)売買契約後は、売主には財産権移転義務が生じ、買主には代金を支払う義務が生じます。
売買の一方の予約
第五百五十六条 売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。
2 前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。
※本契約を締結させる為、予約完結権が発生します。予約完結権は譲渡も出来(対抗要件は債権譲渡に準じ、相手方に対する通知は不要です。(大判T13.2.29))、10年の消滅時効にかかります。(大判T10.3.5)
手付
第五百五十七条 買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
2 第五百四十五条第三項の規定は、前項の場合には、適用しない。
手付の種類
・証約手付
契約を成立したことを示す手付。全ての手付にこの性質があります。
・違約手付
契約上の債務を履行しない場合に没収される手付をいいます。細かく分けると2種類あり、損害賠償額の予定としての手付と違約罰としての手付があります。
・解約手付
条文に該当する手付です。民法は、特約がない限り解約手付と推定します。
解除権の行使
着手時期は、履行期の前でも構いません。(判例)
「当事者の一方」とは、相手方のみを指し、履行に着手した側からの解除は認められます。(最大判S40.11.24)
「履行に着手する」とは履行の準備は含まれず、履行行為自体に着手することです。判例では、給付の実行に着手すること、客観的に外部から認識できるような形で履行の一部をなし、又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指します。(最大判S40.11.24)
解除の方法
手付を交付したものが解除するには意思表示だけで足りますが、手付を受領した方は手付の倍額を現実に提供する(口頭では足りません)必要があります。(最判H6.3.22)
売買契約に関する費用
第五百五十八条 売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する。
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