不貞慰謝料請求の判例 case.9
浮気・不倫が判明した際、一つの答えとして選択されるのが離婚。
もちろん、離婚事由は浮気や不倫が全てではありませんが、、、。
皆さんは、離婚の件数についてご存知でしょうか。
今や3組に1組の夫婦が離婚している等という話を耳にしますが実際どうなのでしょう。
離婚の件数は厚生労働省が公表している為、その数を知る事が出来ます。
本当であれば、不倫の件数も判明すれば尚わかりやすいのですが、統計事態が不可能なので、不倫の件数については把握出来ていません。
厚生労働省が公表した情報によりますと、
2012年(平成24年)の婚姻件数は約67万件。
離婚件数は23万5千件。
単純に計算しますと、離婚の割合は実に35%と若干ではありますが、予想よりも多い結果となっています。
参考までに、1970年(昭和45年)の婚姻件数は約102万件。
離婚件数は9万5千件。離婚の割合は約10%となっています。
1970年以来離婚の件数が増えている事、離婚事由として配偶者の不貞がある事、不貞行為に基づく慰謝料請求訴訟が主要な訴訟類型となっている事から、離婚の件数同様、不倫の件数も増加していると思われます。(参考:不貞慰謝料請求の実務 著者 中里和伸弁護士)
~探偵の一言~
離婚件数の増加は予想通り、というか、感じるものがありましたが、婚姻件数もこれほど減少していたとは驚きです。
単純な人口の変化とは別に、生涯独身で過ごす方も増加しているということが背景にあるのではないでしょうか。
婚姻件数は減り、離婚件数は増加しと、あまり良い状況とは言えませんね。
この状況を生み出したのも、やはり不貞(浮気)の増加が原因の一つにあげられます。
人生をも狂わせる不貞行為。決して許されるものではありません。
不貞行為は不法行為ですので、基本的には不倫する方が悪です。
不法行為者を野放しにして自由にさせておく必要性は全くもってありません。
浮気・不倫行為にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
不貞慰謝料請求の判例 case.8
今回は特に珍しい裁判例をご紹介します。
判例の紹介の前に、「期待可能性の意義」について少し説明します。
「期待可能性」とは、刑法上の法律用語であり、行為の当時、行為者が適法行為を行うことを期待出来る事を意味します。この期待可能性は、刑法の犯罪論では、責任要素の一つとされ、適法な行為を行う事が期待できないような場合においては、違法な行為をあえて選択したとは言えず、責任が阻却され犯罪が成立しないと説かれています。
具体的な例としては、強制された行為(例えば、銀行強盗をしないと殺すと脅迫されてやむなく犯罪を行う場合)などがあります。
民事の裁判例でもこの期待可能性の有無が問題となったと評価できる事案があります。
横浜地方裁判所昭和48年8月29日
父娘間の継続的肉体関係を秘匿して結婚することが、相手方男性に対して、父および娘の不法行為を構成するか否かが争われた事案でした。(相手方男性は妻とその父に対して慰謝料300万円その他結納金等の財産上の損害の賠償を求めた。)
本件では、妻が結婚(内縁)の前に父と肉体関係を持っていた事実を秘匿していたことがやむを得ないものであり、その事実を正直に相手方男性に対して事前に開示することを期待できない(期待可能性がない)として、父娘に不法行為責任が成立せず相手方男性の請求を棄却しました。(父および娘は結婚を契機として、肉体関係を断絶し、人間として蘇生しようとしていたことをうかがい知ることができた。としている。)
(参考:不貞慰謝料請求の実務 著者 中里和伸弁護士)
~探偵の一言~
今回は期待可能性についての判例でした。
今回のケースでは、一般的な人間が事実を知った時、驚き、結婚成立による幸福を失う危険があったと考えられました。
父や娘の結婚による幸福の祈念と情愛から秘匿は必然であって、開示を期待することは不能としたのです。
凄く簡単に言えば、「普通、言えないよねこんなこと。」という事です。
この「請求棄却」という結論が正しいかどうかは賛否が分かれるところかと思いますが、裁判官も相当悩んだことが想像できます。
裁判は、人と人が話合い、争い、結論が出ます。このような裁判例があると知ると、裁判というのは本当に難しく、どう転ぶかはわからないということが再確認できます。
不貞慰謝料請求の判例 case.7
不貞慰謝料請求するにあたって、必要となってくるものは複数あります。
その中のひとつが「不貞の証拠」です。
しかし、探偵や興信所といった調査会社は、お買いもの感覚で依頼できてしまうような安い値段ではありません。
では、この調査費用というものに関して、不貞慰謝料とは別に、損害賠償として請求はできないのでしょうか。
実は、調査費用の請求が認められている判例が幾つか存在します。
東京地方裁判所平成16年8月31日
『調査費用は、それ自体は本件不貞行為と相当因果関係がある損害と評価することは出来ないが、そのような出費をしたことは、慰謝料算定の一事由となる』
対して、否定した裁判例も、、、
東京地方裁判所平成22年2月23日
『被告は当初から本件調査の範囲外の時期における不貞行為の事実を認めており、調査費用は不法行為と相当因果関係のある損害として認める事は出来ない』としています。
~探偵の一言~
今回は、不貞行為の証拠収集にかかった調査費用についてでした。
これから、探偵・興信所に相談しようと考えている方がいれば、意外と盲点だったのではないでしょうか。
慰謝料請求とは別に、調査費用も返ってきたら、文句なしの大勝利と言えます。
ただ、調査費用については不貞行為の立証に必要であったか否か等により、その請求の可否が決まり、仮に請求が出来るにしても、額は制限される可能性が高いです。調査失敗を繰り返し膨大な費用になったとしても、証拠収集が上手に出来なかった場合、尚更、調査費用は全部が全部必要なものだったのか、と問いただしてくるでしょう。
弊社では、ご依頼者様から不法行為者の情報をお聞きし、どのような調査方法であれば、無駄なく証拠を収集できるかを話し合います。時にはご依頼者様も交え、いわゆる作戦会議を行います。これは至極当然のことであって特別なことではありません。最善の調査方法とプロの調査力で証拠を収集します。
この調査は本当に必要なのか、どこまで対象者を追えばベストか、などを常に考え、無駄な調査は致しません。
「価値ある証拠」と「価値ある調査」を皆様にご提供します。
不貞慰謝料請求の判例 case.6
パートナーに不倫をされた場合、慰謝料請求が出来るのは皆さんご存知のはず。
一般的に、離婚覚悟であれば、パートナーと不倫相手双方に慰謝料請求をする方が多数派です。
では、この慰謝料請求、当事者が婚姻関係ではなく、「内縁関係」であった場合、請求は認められるのでしょうか。
内縁とは—内密の結婚。結婚の意思で男女が同居しているが法律上の届出(とどけで)をしていないこと。を言います。
実は、一般的には当事者が内縁関係であった場合、不倫相手の故意・過失の成立が認められにくいのが現状です。
東京地方裁判所(平成15年8月27日)は当事者間が内縁関係の事案において、次のように判示し不法行為は成立しないとしました。
「不倫相手は当事者らが同居している事、ましてや内縁関係にある事は知らず、ただ単に交際している女性がいるという認識しかなかった事、しかも当事者から、交際している女性とは別れたと告げられたことから、性交渉を持ったものと認められ、これを覆すに足りる証拠はない。そうすると、性交渉を持ったことに故意または過失があったとはいえない為、損害賠償請求は認められない。」
~探偵の一言~
今回は内縁関係が婚姻関係と同等の扱いを受け、慰謝料請求が認められるか、という判例でした。
結果、現状、認められにくいようです。
婚姻関係の場合には戸籍にその旨の記載があり婚姻関係を証明することが出来ますが、内縁の場合はそのような事が出来ません。この違いが大きいのではないでしょうか。
そもそも、不倫相手は当事者が婚姻していると本当に知らないケースもあります。
その判断材料となるのが、調査で得た情報になります。行動、会話、場所、時間、様々な要素で不倫相手が当事者にとって、どのような存在なのかを暴いていくことが可能です。
弊社では、入手できる情報は余すことなく入手致します。
調査リスクと情報の重要性を天秤にかけ、ご依頼者様がご満足できる調査をご提供致します。
不貞慰謝料請求の判例 case.5
不貞慰謝料請求をするにあたってやはり気になるのが、慰謝料算定の考慮事情。
一言に慰謝料と言っても、環境や、条件によって金額が変化するもの。一体どういった算定で金額を決定するのか。
弁護士に対するアンケート結果では、資産・収入・職業・地位などは、算定要素となると考えている弁護士が多いようである。
しかしながら、近時の裁判例では、こういった要素を慰謝料算定の考慮事情に直接入れないことが多い。
これはむしろ当然の事であって、例えば、社会的地位のある者とそうでない者が行う不貞行為には何ら差異はないはずであり、また所有資産の有無という事実自体によって慰謝料の額が増えたり減ったりするということに合理性があるとは思えないからである。
この点に関して、東京地方裁判所(平成23年12月28日)も、「当事者に関する一般的事情は不法行為により生じた精神的苦痛とは無関係であるから、慰謝料額の算定において考慮することは出来ない」と判示している。
ただし、先程も述べたように、資産・収入・職業・地位などは、算定要素となると考えている弁護士が多いのも確かなので、当事者の職業が慰謝料の増額事由として考慮されたと思われる裁判例もある。
~探偵の一言~
今回は、慰謝料算定の考慮事情についてでした。
「不倫相手が金持ちだったら慰謝料を多く請求できる?」そんな疑問に答えるような内容だったと思います。
逆に言えば「借金だらけの人からは慰謝料請求できない?」となってしまいますので、上記で述べたように、やはり合理性があるとは言えないのでしょうか。
しかし、あくまでこれは裁判まで話が進んだ場合の例です。
弊社では、裁判で勝てる証拠を入手します。そうすることで、裁判までいかずとも、示談交渉で決着がつきます。
示談交渉では、当事者の資産・収入・職業・地位は算定要素となると考えてもいいのではないでしょうか。
不貞慰謝料請求の判例 case.4
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「面会行為」いわゆる、ランチやお茶などと言った行為は、不貞行為(不法行為)となるか、争われたケースがある。
妻が夫に内緒で、男と会ったり、メールのやり取りをしていた行為を違法な交際だと主張して争ったのだ。(東京地方裁判所平成20年12月4日)
しかしながら、同裁判例は「これらの行為が不法行為を構成するとは言えない」としている。
つまり、妻が週に2.3回、異性と昼間に会っては会食し、週に3回は夕食を共にしたほか、映画鑑賞、喫茶などを繰り返しても、これらは、婚姻関係を破たんに至らせる交流とは認めがたく、不法行為に当たらない。としている。
ただし、事案によっては、面会行為が不法行為に当たるケースもある。
それが、東京地方裁判所平成25年4月19日の裁判例で、かつて不倫関係にあった2人が深夜の時間帯に面会行為をしていたというものであった。
裁判所は「深夜の時間帯に面会行為を行う事は、再び不倫関係を再開したと疑いを抱かせるのに十分であり、婚姻関係を破たんに至らせる行為であると認められる」と判示した。
このように、単なる面会行為でも、不法行為を構成する可能性がありうる。(参考:不貞慰謝料請求の実務 著者 中里和伸弁護士)
~探偵の一言~
今回のcase.4は面会行為が不貞になるか、というものでした。
不法行為=肉体関係というのは周知だと思いますが、面会行為のみでも不貞になる可能性があるのですね。
幾つかの条件が重なれば、の話ですが、、、。
かつて浮気・不倫をしていたパートナーが、十数年経ったのち以前と同じ相手と不倫(または深夜の面会)を再開する、というケースは実際にあります。
十数年前の不倫でも、再び不倫関係を再開したと疑いを抱かせ、婚姻関係が破たんすれば、十分に慰謝料請求が認められる可能性はあるようです。
不貞慰謝料請求の判例 case.3
平成8年3月26日、最高裁判所が不貞慰謝料請求訴訟に関する重要な判決を下した。
その判決を簡潔に言うならば『婚姻関係が破たん状態であれば不貞の償いは無用』といった内容である。
仮に訴訟を起こしたのが妻・あゆみで、不倫をしたのが夫・つばさだとしよう。
要するに、つばさと不倫相手との不貞行為が開始された時点に於いて、あゆみとつばさの夫婦関係が破たん状態にあるのならば、原則として、つばさはあゆみに対して不法行為責任を負わず、あゆみのつばさに対しての慰謝料請求は認められないと判示したのである。
夫婦関係がもとより壊れていたのであれば、「すでに壊れていたものをさらに壊すことはできない」ので、不法行為責任を負わないという事である。(参考:不貞慰謝料請求の実務 著者 中里和伸弁護士)
~探偵の一言~
今回のcase.3は、夫婦関係の破たんについてでした。
不倫された側が全員が全員、慰謝料請求は出来ないという事が判例としてあります。
夫婦関係の破たんとは、一般的に別居=破たんと思いがちですが、それは違います。
別居状態でも、「夫婦関係改善のための別居」も存在するため、別居=破たんとはならないようです。
では、どういった事が夫婦関係の破たんになるか。
それは、双方が関係が壊れている事を認めた場合になります。
お互いに不倫している、だとか
提出してはいないが自分らの意思で書いた離婚届が存在する、
等が例としてあります。
もし、今、浮気をされて苦しんでいる方がいたら、相手がいつ離婚届を渡してくるか、考えている人もいるでしょう。
そういった状況でも、すぐ受け入れるのではなく、もう一度夫婦仲を改善するよう提案してみて下さい。
その状態で、不貞の証拠を入手すれば、裁判所が不貞行為と推認する可能性は十分にあります。
こういった情報をあらかじめ知っておくことで、浮気・不倫された側ばかりが泣き寝入りする状態を避ける事が出来るでしょう。