民法を学ぼう 錯誤
錯誤
効果意志と表示行為の不一致を表意者自身が知らないことです。
第九十五条
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
錯誤には主に以下の3つがあります。
①動機の錯誤
動機と効果意志との間に不一致。
(間違えて購入し場合等)
②内容の錯誤
効果意志と表示意思との不一致。
(100ドルで売るつもりが、100バーツで売ると言ってしまった場合等)
③表示上の錯誤
意思表示と表意行為との間に不一致。
(50万で買うつもりが、間違えて100万で買うと言ってしまった場合等)
※ ①は原則として錯誤(95条)の対象とならず(例外あり)、②と③が該当します。
効果
錯誤による意思表示は無効です。
当事者間だけではなく、第三者に対しても無効です。
この無効の主張は原則本人だけ主張できます。
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民法を学ぼう 通謀虚偽表示
通謀虚偽表示
相手方と通じてなした、効果意志と表示行為が不一致である意思表示です。
例えば、債権者からの差し押さえをを逃れるため財産を第三者に売渡(売ったことにする)、実態を伴わない売買などのことです。
当事者間の効果
原則無効。
第三者に対する効果
善意の第三者に対しては有効です。
第三者は善意で在れば足り、無過失まで要求されません。
※第三者は登記等の対抗要件を備えなくても、94条2項の保護を受けられます。(最判S44・5・27)
94条2項の第三者とは
当事者及びその包括承継人以外で、通謀虚偽表示に基づく法律関係の外観を信じ、新たな独立の法律上の利害関係を有するに至った者。
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民法を学ぼう 心理留保
心理留保
意義・要件
表意者が表意行為に対応する効果意志がないことを知りながら行う意思表示。
当事者間の効果
心理留保は原則として有効。
※婚姻のような身分行為には適用はなく、常に無効。(意思主義)
しかし、相手方が表意者の真意を知っていた場合(悪意)や、知ることができたような場合(有過失)には無効になります。
九十三条
意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
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民法を学ぼう 法律行為
法律行為とは
一定の権利や義務の変動(発生・変更・消滅)を発生させるための「要件」を法律要件といい、意思表示を重要な要素とする「行為」を法律行為、そして法律行為などの法律要件をみたすと発生する、一定の権利や義務の変動という「効果」を法律効果という。
法律行為という法律要件が満たされると、法律効果が生じます。
法律行為の分類
法律行為は、意思表示の態様によって3種類に分類できます。
・申込と承諾の契約
・一方的な意思表示の単独行為(取消・解除など)
・2つ以上の意思表示で行われる合同行為(会社設立など)
成立要件・有効要件
成立要件
法律行為は権利能力を有する当事者が、一定の法律効果を発生させる目的で意思表示をすること
有効要件
・当事者に関する要件
権利能力・意思表示・行為能力の存在
・意思表示に関する要件
意思表示に欠缺・瑕疵がない
・目的に関する要件
確定性・ 実現可能性・適応性・社会的妥当性
※適応性 強行規定に反しないこと 91条
社会的妥当性 公序良俗に反しないこと 90条
第九十条
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
第九十一条
法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。
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民法を学ぶ 物
物とは有体物に限られます。(85条)
不動産と動産
土地及びその定着物は不動産とされ、それ以外のすべての有体物は動産とされます。(86条1項・2項)
不動産の分類
① 建物のように別個独立の不動産
② 石垣のように土地の一部として土地権利の変動に従うもの
③ 立木のように、一定の手続きを踏めば別個独立の物として認められるもの
不動産以外の有体物はすべて動産です。土地に付着していても定着していなければ、
動産となり、商品券などの無記名債権も動産とみなされます。(86条3項)
主物と従物(87条)
従物
① 主物の常用に供される
② 主物に付属すると認められる程度の場所的関係にある
③ それぞれが別個独立している
④ 主物と同一の所有者に属する
従物は主物の処分に従う。(87条2項)
※87条は任意規定 当事者が意思表示したときはこの限りではない。
抵当権
主物についての抵当権は従物にも及びます。(大連判T8.3.15)
従物についての対抗力は、主物の対抗要件を備えることにより付与されます。(最判S44.3.28)
元物と果実
天然果実
物を用法どおり使用するとえられる産出物(88条1項)
法定果実
物の試用対価として受け取る金銭等(88条2項)
八十五条
この法律において「物」とは、有体物をいう。
第八十六条
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民法を学ぼう 権利能力なき財団・法人
権利能力のなき財団・社団は民法に明確な規定はありません。
ですが、財団・社団としての実質を持っているため、法人の規定を可能な限り類惟適用します。
意義
権利能力のなき財団・社団とは、法人となるに適した社会的実体を有しているが、法人法定主義の下における法律の評価手続きを経ていないために、法人格を認められない。
実質要件
判例
「権利能力のない社団といい得るためには、団体としての組織を備え、多数決の原理が行われ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定してるものでなければならない」最判S39.10.15
法律関係
積極財産の帰属
財産は構成員(社員)の共同所有と解さざるを得ないとしています。この共同所有形態はは総有(各人がそもそも持分を持たない)最判S32.11.14
取引等における名義
団体名義で取引は出来ます。
民事訴訟法では、「代表者または管理人の定めがあるもの」についてだけは、「その名において訴え、又は訴えられることができる」(29条)
登記名義は団体名で登記は出来ません。(最判S47.6.2)
代表者名義に肩書きを付すことも許されてません。
登記ををする場合は、代表者あるいは代表者ではない構成員の個人名義か(最判H6.5.31)、構成員全員の共有名義になります。
構成員・代表者の責任
社団の総有財産だけがその責任財産(強制執行の目的となる財産)となります。したがって、構成員各自は社団の債務につき取引の相手方に対し直接に債務や責任を負う事はなく、その総有財産に出費した範囲で有限責任を負います。(最判S48.10.9)
代表者の個人の責任ついては不定されています。(最判S44.11.4)
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民法を学ぼう 法人
法人の種類
公法人
国家公共に事務を遂行することを目的とし、公法の規定に準拠して成立・運営される法人(国・地方公共団体等)
私法人
私人の自由な意思決定による目的の遂行のために、私法の規定に準拠して・設立・運営される法人(会社・私立学校等)
社団法人
一定の目的のために集合した人の団体を社団といい、この集合した構成員のことを社員という。この人の集合体である社のうち、法人格を有する社団を社団法人という。
財団法人
一定の目的のために搬出された財産の集合体を財団という。この財団の中で法人格を与えられたものを財団法人という。
営利法人
営利とは団体それ自体が収益を挙げることではなく、利益(剰余金)が構成員(社員)に分配されることを意味します。利益を構成員(社員)に分配することを目的とする法人
非営利法人
営利を目的しない法人。一般法人法により比較的安易な基準で法人格を取れる。
外国法人
設立
認許主義(35条1項)
権利能力
原則的に同種のない内国法人と同一の私権を享有しますが(35条2項)自然人たる外国人が享有ができない権利と法律又は条約中に特別の規定がある権利については、権利能力はない。(35条2項ただし書き)
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民法を学ぶ・失踪宣告制度
失踪宣告
不在者の生死が明らかではない状態が、一定期間経過したとき、
失踪宣言により、不在者を死亡したものとみなします。
失踪には、普通失踪と特別失踪があります。
普通失踪
不在者の生死が7年間明らかでないとき(30条1項)
特別失踪
死亡の可能性が高い状態に遭遇し、
危機が去った後1年間生死が明らかではないとき(30条2項)
第三十一条
前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。
失踪宣告の取り消し
失踪者が生存していること、または31条に定められた期日と
異なる期日で死亡したことが証明された場合、
家庭裁判所は本人又は利害関係人の請求により
失踪宣告を取り消さなければなりません。(32条1項前段)
取消の効果
失踪宣告は遡及的に無効となり、発生していた法律行為は原則無効となりますが、
その取消前に善意で行った法律行為には影響を及ぼさないとしています。
(32条1項後段)
この善意は、双方の善意とされています。(大判S13.2.7)
当事者、取引を行った相手方も善意でなければなりません。
財産を受けてたものは、取消により不当利得として返還しなければなりません。
この返還は現存利益でよいとされています。
一般の不当利得と同様(703条・704条)善意のみこの保護が受けられます。(通説)
婚姻
宣告後再婚をしたが、宣告が取り消された場合、
通説では、善意のときは後婚のみが残り、
双方または一方が悪意のときは重婚と同じ扱いになり、
前婚については離婚原因に後婚については取消原因になります。
第七百四条
悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
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民法を学ぶ・不在者制度
不在者
住所又は居所を去って容易に帰ってくる見込みがない者を不在者と呼びます。
不在者は死亡しているわけではないので、権利能力はあります。
不在者財産管理人制度
不在者の財産を管理するため、家庭裁判所が
利害関係人又は検察官の請求により不在者財産管理人を選任します。
不在者財産管理人の権限(103条)
①保存行為
②代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において
利用又は改良を目的とする行為
売買や遺産分割などは家庭裁判所の許可が必要です。
第百三条
権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
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制限行為能力者との契約 相手方の保護
相手方の催告権
制限行為能力者との取引
取引の相手方は、制限行為能力者が能力を回復し
能力者になったときには、1か月以上の期間内にその取り消すことができる行為を
追認するか否かを確答すべき旨を催告できます。(20条1項)
能力を回復していない者に対しては、法定代理人・保佐人・補助人に
対して、催告できます。(20条2項)
期間内に回答しない場合は同意したものとみなされます。
ただし、特別の方式(未成年後見監督人の同意等)が必要な場合は
取り消したとみなされます。
被保佐人または審判により補助人に同意権を付与された非補助人に対しても、
保佐人又は補助人から追認を得るように催告できます。
期間内に追認を得れなければ、取り消したものとみなされます。
※未成年者と成年被後見人にたいしては、催告しても意味がありません。
回答がなくとも、追認したとみなされたり、取り消したものにはなりません。
意思表示の受領能力を有しないためです。(98条)
取消権の削除
制限行為能力者の詐術
自己が行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いて、
相手方を信じ込ませた場合は、その行為は取り消せません。
「自己が行為能力者であることを信じさせる」とは、
行為の能力者と誤信させる場合のみならず、
同意権者の同意があると誤信させた場合も含みます。
「詐術を用いる」には、黙秘も含みます。
単なる黙秘は詐術にあたらないとしても、
制限行為能力であることの黙秘が、
その他の言動とあいまって相手方を誤信させ、
又は誤信を強めたものと認められるときは、詐術に当たるとされます。
(最判S44・2・13)
例外として、詐術を用いても、結果として相手方が騙されなければ、
取消権は、はく奪されません。
第二十一条
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
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●探偵業届出番号:神奈川県公安委員会 第45130061号