多数当事者の債権・債務関係
多数当事者の債権・債務
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
※当事者1人につて生じた事由は、その者についてのみ効力を生じます。
不可分債権・不可分債務
不可分債権
債権の目的がその性質上又は当事者の意思表示によって不可分である場合において、数人の債権者があるときは、各債権者はすべての債権者のために履行を請求し、債務者はすべての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。
不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全部の履行を請求することができる。この場合においては、その一人の不可分債権者がその権利を失わなければ分与される利益を債務者に償還しなければならない。
2 前項に規定する場合のほか、不可分債権者の一人の行為又は一人について生じた事由は、他の不可分債権者に対してその効力を生じない。
※条文上の規定はないものの、全額を請求をして弁済を受けた債権者は、他の債権者に対して、その持分に応じて平等に分与しなければなりません。
不可分債務
前条の規定及び次款(連帯債務)の規定(第四百三十四条から第四百四十条までの規定を除く。)は、数人が不可分債務を負担する場合について準用する。
※履行の請求等連帯債務の規定が準用されます。
不可分給付から可分給付への変更
不可分債権が可分債権となったときは、各債権者は自己が権利を有する部分についてのみ履行を請求することができ、不可分債務が可分債務となったときは、各債務者はその負担部分についてのみ履行の責任を負う。
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債権・4
詐害行為取消権
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
2 前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。
債権者側の要件
被保全債権が(原則)金銭債権であること。(特定物債権でも行使可能ですが、特定物債権に発生する損害賠償債権保全のために認められ、特定物債権そのものの保全のためには認められません。)
詐害行為前に被担保債権が成立していなければなりません。
物的担保を有する債権
担保物の価格が債権額に不足する限度で行使できます。
物上保証人の場合は債権の全額に対して行使できます。
人的担保を有する債権
保証人や連帯保証人がついている債権に対しては全額に対して行使できます。(判例)
債務者側の要件
無資力であること。
財産権を目的とした法律行為であること。
債務者に詐害の意思があること。
行使方法
裁判上の行使です。
行使の相手方
受益者・転得者になります。
※善意の相手方には行使できません。
行使期間
第四百二十四条の規定による取消権は、債権者が取消しの原因を知った時から二年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
※「取消の原因を知った時」とは債権者が詐害の事実を知っただけでは足りず、債務者に詐害の意思があることを知ったときからです。
効果
前条の規定による取消しは、すべての債権者の利益のためにその効力を生ずる。
金銭は、直接自己に引き渡すように請求できます。(判例)
不動産の登記は直接自己に対する移転登記を請求することはできません。(最判S53.10.05)
※すべての債権者には取消の相手方である受益者は含まれません。
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債権・3
債権者代位権
債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。
2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。
※上記の成立要件は債務者が自らその権利を行使しないときにできます。
被保全債権は原則として金銭債権である必要があり、債務者が無資力であることが必要です。
対象となる権利
判例で認められたものは、(金銭債権以外)
・移転登記請求権
・抹消登記請求権
・妨害排除請求権
・債務の消滅時効の援用、などです。
・形成権(取消権・解除権・買戻権など)
・代位権
・第三者による錯誤無効の主張(表意者が錯誤無効を認めている場合)(最判S45.3.26.)
対象者とならないもの
・一身専属権(離婚請求権、認知請求権、夫婦間の契約取消消権、離婚による財産分与請求権、遺留分減殺請求権、慰謝料請求権など)
・権利行使を債務者の意思のみにゆだねるのが妥当なもの
・差押を許さない権利
行使方法
債権者が自己の名で行使し、裁判上、裁判外でも行使できます。
相手方の地位
すべての抗弁が主張できます。(相殺の抗弁・同時履行の抗弁権・権利の消滅の抗弁など)
範囲
債権の保全に必要な範囲までです。
請求内容
物の引渡を求める場合には、直接自己への引渡を請求できます。
債務者による処分の禁止
裁判上の代位について債権者が債権者代位権の行使の着手を債務者に伝えたときは、債務者による権利の処分が禁止されます。(非訟事件手続法88条3項)
※裁判外にも類推適用されます。
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債権・2
債権の対内的効力
債務者に対しして主張できる効力のことをいいます。
履行の強制
直接強制
債務者の意思にかかわらず、国家権力に力で債権の内容を直接的に実現することです。
債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
代替執行
2 債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。ただし、法律行為を目的とする債務については、裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる。
間接強制
債務者に一定の金銭の支払義務を課すことにより、債務者を心理的に圧迫して、間接的に債務の履行を強制することです。(民事執行法172条)
ただし、債務者の自由意思が尊重される債務については認められません。
判例は、幼児の引渡義務については認めています。(大判T元.12.19)
妻の同居義務については認めていません。(大判S5.9.30)
債務不履行
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
※相当の期間を定めて催告しても履行がない場合は契約の解除もできます。
・履行遅滞
債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う。
3 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
要件
① 履行が可能なこと
② 履行期が経過したこと
③ 債務者の帰責事由に基づくこと
④ 遅滞が違法であること
損害賠償請求
遅延賠償と履行の請求できます。
填補賠償もできますが、原則として債権者が契約を解除したときに認められます。
※履行遅滞後、相当の期間を定めて催告している場合は契約を解除せず、填補賠償の請求もできます。(判例・通説)
損害賠償の範囲
債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
損害賠償の方法
損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。
過失相殺
債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。
損害賠償の予定
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
※あまりに高額の予定は90条に違反す限度で無効です。
損害賠償による代位
債権者が、損害賠償として、その債権の目的である物又は権利の価額の全部の支払を受けたときは、債務者は、その物又は権利について当然に債権者に代位する。
・履行不能
要件
① 債権成立後履行が不能になること
② 債務者の帰責事由に基づくこと
③ 不能が違法であること
効果
履行の強制は認められません。
損害賠償請求
填補賠償が請求できます。
※一部が不能となっただけでしたら、不能の部分のみの填補賠償になります。
契約の解除
催告なしで解除できます。
・不完全履行
要件
① 履行が不完全なこと
② 債務者の帰責事由に基づくこと
③ 不完全履行が違法であること
損害賠償請求及び完全履行請求
追完不能な場合は損害賠償請求を行います。
契約の解除
追完不能な場合は即解除できますが、追完可能な場合は相当期間を定めた催告後、解除できます。
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債権
債権序説
債権の発生
特定の人が特定の人に一定の行為を請求する行為を債権といい、一定の行為をなす義務を債務といいます。
債権の目的
債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。
善管注意義務
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
種類債権
債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。
2 前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。
※種類債権は善管注意義務を負いません。
債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない。
2 債権の目的物である特定の種類の通貨が弁済期に強制通用の効力を失っているときは、債務者は、他の通貨で弁済をしなければならない。
3 前二項の規定は、外国の通貨の給付を債権の目的とした場合について準用する。
外国の通貨で債権額を指定したときは、債務者は、履行地における為替相場により、日本の通貨で弁済をすることができる。
利息債権
利息は当事者間で合意がなければ、民法上は無利息になります。
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。
※約定利率の上限は利息制限法で決められています。
法定重利
利息の支払が一年分以上延滞した場合において、債権者が催告をしても、債務者がその利息を支払わないときは、債権者は、これを元本に組み入れることができる。
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非典型担保
民法上は担保権として規定されていませんが、実質的に担保機能を内在されている権利で、判例上も一定の承認を得れています。
譲渡担保
金銭債務を担保するため、債務者所有物の物の所有権を法形式上債権者に移転させる方法です。
債権者への所有権移転という形式をとりますが、多くはその後も設定者(債務者)がその目的物を使用続けます。
所有権留保
売買代金が完済されるまでは目的物の所有権を売主に留保していく方法です。
自動車の割賦販売などが例に挙げられます。
仮登記担保
金銭等の借入に対して、債務者(担保提供者)所有の不動産をもって弁済に代える(代物弁済)という契約をし仮登記をします。
停止条件付代物弁済、代物弁済予約等の形式が用いられます。
債務不履行後、2か月の清算期間を経過後、目的物の所有権が債権者に移転します。(仮登記担保契約に関する法律2条1項)
代理受理
債権等の権利を担保の目的にします。
例えば、AがBに対して融資を行う場合、BのCに対する金銭債権の弁済受領の委任を受けて、Aの融資金の弁済に充当する方法です。
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根抵当権・3
抵当権の処分
元本の確定前においては、根抵当権者は、第三百七十六条第一項の規定による根抵当権の処分をすることができない。ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない。
2 第三百七十七条第二項の規定は、前項ただし書の場合において元本の確定前にした弁済については、適用しない。
※転抵当に関しては可能です。ただし、元本確定前に原抵当権者に弁済をした場合でも、弁済による被担保債権の消滅をもって転抵当権者に対抗出来ます。
譲渡
全部譲渡
元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。
2 根抵当権者は、その根抵当権を二個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。
3 前項の規定による譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。
※全部譲渡をすることによって譲渡人の債権は一切担保されなくなります。
分割譲渡・一部譲渡
元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権の一部譲渡(譲渡人が譲受人と根抵当権を共有するため、これを分割しないで譲り渡すことをいう。以下この節において同じ。)をすることができる。
※分割譲渡のみ利害関係人の承諾も必要です。
根抵当権の共有
根抵当権の共有者は、それぞれその債権額の割合に応じて弁済を受ける。ただし、元本の確定前に、これと異なる割合を定め、又はある者が他の者に先立って弁済を受けるべきことを定めたときは、その定めに従う。
2 根抵当権の共有者は、他の共有者の同意を得て、第三百九十八条の十二第一項の規定によりその権利を譲り渡すことができる。
共同根抵当権
第三百九十二条及び第三百九十三条の規定は、根抵当権については、その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をした場合に限り、適用する。
※「同一の債権」とは債権の範囲、債務者、極度額がすべて同一のことです。
変更
前条の登記がされている根抵当権の担保すべき債権の範囲、債務者若しくは極度額の変更又はその譲渡若しくは一部譲渡は、その根抵当権が設定されているすべての不動産について登記をしなければ、その効力を生じない。
2 前条の登記がされている根抵当権の担保すべき元本は、一個の不動産についてのみ確定すべき事由が生じた場合においても、確定する。
優先弁済権
数個の不動産につき根抵当権を有する者は、第三百九十八条の十六の場合を除き、各不動産の代価について、各極度額に至るまで優先権を行使することができる。
※共同担保にならない累積式根抵当権の場合は適用されません。
元本の確定事由
・確定期日が到来したとき。
・相続の場合に合意の登記をしなかったとき。(6ヵ月以内にしなかった場合は、相続開始のときに元本が確定したものとみなされます。)
・合併の場合に設定者が確定請求をしたとき
・会社分割の場合に設定者が確定請求をしたとき
・設定後3年経過後に設定者が確定請求をしたとき
・根抵当権者が確定請求をしたとき
根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から二週間を経過することによって確定する。
2 根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。
3 前二項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない。
・根抵当権者が抵当権を実行したとき
・根抵当権者が滞納処分による差押をしたとき
・他の債権者の申し立てによる抵当不動産の競売手続き等を知ったとき
・債務者または設定者の破産
三百九十八条の二十 次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
一 根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第三百七十二条において準用する第三百四条の規定による差押えを申し立てたとき。ただし、競売手続若しくは担保不動産収益執行手続の開始又は差押えがあったときに限る。
二 根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき。
三 根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき。
四 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2 前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。
極度額減額請求
第三百九十八条の二十一 元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。
2 第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権の極度額の減額については、前項の規定による請求は、そのうちの一個の不動産についてすれば足りる。
根抵当権消滅請求
元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。この場合において、その払渡し又は供託は、弁済の効力を有する。
2 第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権は、一個の不動産について前項の消滅請求があったときは、消滅する。
3 第三百八十条及び第三百八十一条の規定は、第一項の消滅請求について準用する。
※主たる債務者・保証人及びこれらの承継人・条件成否未定の間の停止条件付権利取得者については、消滅請求できません。
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根抵当権・2
元本確定前の当事者と包括承継
相続の場合
元本が確定することを原則としています。(継続する意思があれば別です。)
元本の確定前に根抵当権者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債権のほか、相続人と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に取得する債権を担保する。
2 元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。
3 第三百九十八条の四第二項の規定は、前二項の合意をする場合について準用する。
4 第一項及び第二項の合意について相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。
会社合併の場合
元本が確定しないことが原則となります。
元本の確定前に根抵当権者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する。
2 元本の確定前にその債務者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債務のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する。
3 前二項の場合には、根抵当権設定者は、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、前項の場合において、その債務者が根抵当権設定者であるときは、この限りでない。
4 前項の規定による請求があったときは、担保すべき元本は、合併の時に確定したものとみなす。
5 第三項の規定による請求は、根抵当権設定者が合併のあったことを知った日から二週間を経過したときは、することができない。合併の日から一箇月を経過したときも、同様とする。
会社分割の場合
元本の確定前に根抵当権者を分割をする会社とする分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債権のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に取得する債権を担保する。
2 元本の確定前にその債務者を分割をする会社とする分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債務のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に負担する債務を担保する。
3 前条第三項から第五項までの規定は、前二項の場合について準用する。
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根抵当権
抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
2 前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
3 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権又は手形上若しくは小切手上の請求権は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。
設定
合意により成立する諾成契約です。
債権範囲・債務者・極度額を定めなければなりません。
性質・効力
物権性
約定担保物権であり、対抗要件登記、目的物の消失、権利の放棄、混同によって消滅します。抵当権と同じです。
担保物件性
根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
2 債務者との取引によらないで取得する手形上又は小切手上の請求権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その根抵当権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。
※元本確定後に生じた債権については担保されません。
元本確定前の根抵当権
付従性を不定します。
随伴性も不定します。
第三百九十八条の七 元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。
2 元本の確定前に債務の引受けがあったときは、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができない。
3 元本の確定前に債権者又は債務者の交替による更改があったときは、その当事者は、第五百十八条の規定にかかわらず、根抵当権を更改後の債務に移すことができない。
根抵当権の変更
債権の範囲変更・債務者の変更
元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。
2 前項の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。
3 第一項の変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。
極度額の変更
根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。
確定期日の変更
根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる。
2 第三百九十八条の四第二項の規定は、前項の場合について準用する。
3 第一項の期日は、これを定め又は変更した日から五年以内でなければならない。
4 第一項の期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定する。
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抵当権・4
共同抵当
同一の債権を担保するため複数の不動産を目的とした抵当権です。
設定方法
当事者の合意で成立します。同時に設定もでき、追加で設定もできます。
配当方法
同時配当
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
※後順位抵当権者がいなくてもこの配当です。(大判S10.4.23)
異時配当
2 債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
※次順位者に限定されません。広く後順位者も含まれます。
共同抵当の目的不動産が物上保証人の所有である場合は、後順位抵当権者は代位できません。(最判S44.7.3)
共同抵当権の放棄
放棄しなければ後順位抵当権者が392条2項の規定によって代位出来た範囲で、後順位抵当権者に優先できません。(大判S11.7.14)
時効
消滅時効
抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
時効取得
債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する。
抵当権の目的である地上権等の放棄
地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない。
※この条文は借地権にも適用されます。
抵当権の侵害
抵当権は物権なので、その侵害に対しては物権的請求権(妨害排除請求権)と侵害者に対して不法行為による損害賠償も請求できます。
先順位の抵当権が実体上はすでに消滅しているのに、抹消されていない場合。
登記の抹消を請求できます。(大判T8.10.8)
抵当権の目的となっている山林上の立木が、抵当権者に無断で、かつ通常の用法の範囲を超えて伐採・搬出された場合。
部外排除請求権として、伐採・搬出を禁止でできます。(大判S7.4.20)
債務者が第三者に対して権利を行使しな場合、債権者が代わりに権利を行使できます。
債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。
2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。
不法占拠者に対しても行使できます。
占有権限の設定を受けている(抵当権設定登記後)占有者にも行使できます。(最判H17.3.10)
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