用益物権 地役権
地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。
便宜を受ける土地を要役地、便益を供する土地を承役地といいます。
要役地は一律の土地でなければなりませんが、承役地は、一律の土地の一部でもかまいませんし、隣接している必要もありません。
随伴性・附従性
時効・取得
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
※継続的行使されていると認められるためには、通路が要役地の所有者によって開設されている必要がありあます。
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用益物権 地上権
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
譲渡・賃貸・担保権設定
土地使用権
地上権は物権であり、債権のように「人」になにかを請求する権利ではないので、土地所有者は地上権者の土地使用を妨げないという消極的義務を負うにとどまります。
土地を使用するための、相隣関係の規定(209条~238条)が準用されます。
前章第一節第二款(相隣関係)の規定は、地上権者間又は地上権者と土地の所有者との間について準用する。ただし、第二百二十九条の規定は、境界線上の工作物が地上権の設定後に設けられた場合に限り、地上権者について準用する。
存続期間
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所有権 共有
数人が具体的な持分権を有する共同所有形態です。各所有者の権利を持分権といいます。
持分権
各共有者の持分は、相等しいものと推定する。
処分
持分の譲受人は第三者に当たるため、登記をしなけらば、他の共有者に持分を対抗できません。(最判S46.6.18)
共有物の利用
第二百四十九条
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
第二百五十一条
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
※同意を得ないで共有物を変更行為を行った共有者に対しては、変更行為の禁止、原状回復請求も可能です。(最判H10.3.24)
第二百五十二条
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
※勝手に使用している共有者に対して、当然には共有物の明け渡しを請求できません。(最判S41.5.19)第三者に許可を出し、使用していた場合も同様です。(最判S63.5.20)
二百五十二条
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
※使用賃借契約の解除や第三者への賃貸借契約解除も管理行為にあたります。
※不法占拠への妨害排除請求・返還請求や不法な登記の抹消請求は保存行為となります。
管理費用の負担
共有物についての債権
第二百五十四条
共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。
持分の放棄及び共有者の死亡
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
※他の共有者が持分を取得した場合、登記をしなければ第三者に対抗できません。(最判S44.3.27)
共有物の分割
利害関係人の参加
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所有権の取得
無主物の帰属
遺失物の取得
第二百四十条
遺失物は、遺失物法(平成十八年法律第七十三号)の定めるところに従い公告をした後三箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する。
※所有の意思は不要です。
埋蔵金の発見
第二百四十一条
埋蔵物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後六箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを発見した者がその所有権を取得する。ただし、他人の所有する物の中から発見された埋蔵物については、これを発見した者及びその他人が等しい割合でその所有権を取得する。
添付
所有者のことなる2個以上の物が何らかの事由により統合した場合、民法は1個のものとして所有権を認めています。
符合・混和・加工に分類されます・
符合
土地と建物は別物です。
不動産の符合
第二百四十二条
不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。
※独立性が認められなければ、ただし書きの部分は該当しません。
動産の符合
加工
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所有権
所有権
二百六条
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
第二百七条
土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。
相隣関係
囲繞地通行権
※袋地の所有者は登記がなくても囲繞地通行権を主張できます。(最判S47.4.14)
通行の場所・方法
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占有権 2
占有の提起
第百九十七条
占有者は、次条から第二百二条までの規定に従い、占有の訴えを提起することができる。他人のために占有をする者も、同様とする。
占有保持の訴え
第百九十八条
占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
要件
占有の侵奪以外の方法による占有の妨害行為。
請求
妨害に対し、相手に故意・過失は必要ありません。相手に故意・過失があれば損害賠償の双方を請求できます。
提起期間
占有保全の訴え
占有回収の訴え
任意に引渡た場合や遺失物を誰かが拾った場合は占有回収の訴えは出来ません。
請求内容
返還の場合相手方の故意・過失は不要。損害賠償の場合は必要。
提起期間
第二百一条
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占有権
成立要件
第百八十条
占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。
※意思能力のないものは占有権を取得できません。
第百八十一条
占有権は、代理人によって取得することができる。
※意思無能力者は、法定代理人を通じて占有します。
占有の意思
第百八十五条
権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。
自主占有 所有の意思をもってする占有(売買の買主等)
他主占有 所有の意思をもたずにする占有(賃借人等)
※無過失は推定されません。
占有権と相続
民法に規定はありませんが、判例は相続を認めています。(最判S44.10.30)
占有権の効力
第百八十八条
占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。
※「占有物について行使する権利」とは、占有を正当化するすべての権利(所有権その他の物権、賃借権等の債権)(大判T4.4.27.)
果実取得権
善意占有者
第百八十九条
悪意占有者
滅失・損害責任
第百九十一条
占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときは、その回復者に対し、悪意の占有者はその損害の全部の賠償をする義務を負い、善意の占有者はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う。ただし、所有の意思のない占有者は、善意であるときであっても、全部の賠償をしなければならない。
費用償還請求権
必要費
第百九十六条
占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
※善意・悪意問わず。
有益費
2 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
※悪意の占有者は有益費の支払いを待たずに留置権を失い、すぐに返還しなければなりません。
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動産物権変動 即時取得
即時取得
第百九十二条
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
要件
・目的物が動産であること
登記されている立木、登録を受けている自動車、(未登録は車は動産)金銭は含まない。
・取引行為での取得であること
売買、贈与、代物弁済、強制競売。事実行為や相続等は含まない。
有効な取引行為でなければならない。(詐欺、脅迫、錯誤、無権代理者との取引等は例外)
・前主が無権利であること
・平穏・公然、善意・無過失
占有開始時であれば足ります。無過失を立証する責任はありません。
・占有の開始
占有改定と即時取得
占有改定による即時取得は認められません。(最判S35.2.11)
占有移転と即時取得
指示による占有移転は認められます。(最判S57.9.7)
盗品及び遺失物の特則
第百九十三条
前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。
占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。
※詐欺により騙された場合はこの適用はありません。
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動産物権変動 明認方法
明認方法とは
土地に定着するもの(立木や未分離果実等)について、習慣上の公示方法で判例により対抗要件として認められたものです。
※取引上の必要がある場合は、立木法が定める立木登記または明認方法を施すことにより、土地とは別個の独立した物として扱われます。
明認方法は、第三者が利害関係を有するに至った時点において存続していないと対抗力が認められません。(最判S36.5.4)
対抗力
立木のみの二重譲渡
明認方法を先に施した方が優先します。
立木のみの譲渡と土地及び立木の譲渡
土地とともに立木を譲渡する場合の対抗要件は土地についての所有権移転登記になります。
優劣は、立木の明認方法か所有権移転登記の先後になります。
立木所有権の留保
留保も物件変動のひとつであるとして、明認方法を施さない限り、立木の所有権を第三者に対抗できない。(最判S34.8.7)
土地及び立木の二重譲渡
立木のみの明認方法と所有権移転登記
AがBより土地と立木を買い受け、立木のみ明認方法を施した場合、BはさらにCに立木と土地を売渡、Cは土地の所有権移転登記を済ませた場合
土地と共に立木を譲渡した場合は、土地の所有権移転登記が対抗要件となります。
※Aの立木の明認方法が先でも関係ありません。
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動産物権変動 対抗要件
引渡
引渡がなければ第三者に対抗できません。
第百七十八条
動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。
※所有権に限られます。
・現実の引渡
第百八十二条
占有権の譲渡は、占有物の引渡しによってする。
・簡易の引渡
第百八十二条
2 譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる。
・占有改定
第百八十三条
代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。
・指示による占有移転
第百八十四条
代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾したときは、その第三者は、占有権を取得する。
※代理人の承諾は必要ありません。
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