国家賠償法 第三者に対しての損害
第三者(近隣住民)への損害
空港での航空機の発着や専用空港の夜間訓練、
道路等の建設・運用に伴う騒音・振動や排気ガスによる大気汚染など、
これらによって生じる損害は、物的な瑕疵によって生じるものではなく、
営造物の本来の目的に即した使用から生じている。
機能的瑕疵からの事例では営造物自体には瑕疵はなく、
営造物の利用によって、第三者(周辺住民)が被る瑕疵に対してである。
判例は、
国営空港における航空機の騒音問題において
空港周辺住民の国家賠償請求に対し、
判例は「営造物の利用の態様及び程度が一定の限度にとどまる限りに
おいてはその施設に危害を生ぜしめる危険性がなくても、
これを超える利用によって危害を生ぜしめる危険性がある状況にある場合には、
そのような利用に供される限りにおいて右営造物の設置、
管理には瑕疵があるというを妨げず、
したがって、右営造物の設置・管理者において、かかる危険性があるにもかかわらず、
これにつき特段の措置を講ずることなく、
また、適切な制限を加えないままこれを利用に供し、
その結果利用者又は第三者に対して現実に危害を生ぜしめたときは、
それが右設置・管理者の予測しえない事由によるものでない限り、
国家賠償法二条一項の規定による責任を免れることができない」として、
国の賠償責任を認めている。
(最大判昭和56年12月16日)