民法を学ぼう 消滅時効
対象権利
・債権
・用益物権(地上権や地役権等)
・担保物件(単独でかかりません。)
非対象権利
・所有権
・占有権、留置権、相隣関係の権利、共有物分割請求権
(一定の事実状態、法律状態があれば認められる権利は消滅時効にかかりません。)
要件
権利の不行使
権利を行使できるのにもかかわらず、一定期間権利を行使しないことです。
消滅時効の起算点
確定期限付き債権 期限の到来したとき
不確定期限付き債権 期限の到来したとき
期限の定めのない債権 債権の成立・発生時(原則)
返還期限の定めのない消費賃借 催告があるときは催告後、相当期間が経過したとき 催告がないときは契約、債権成立から相当期間経過時
債務不履行に基づく損害賠償請求権 本来の債務の履行を請求できるとき
不法行為に基づく損害賠償請求権 被害者または法廷代理人が損害及び加害者を知ったとき(3年)
一定期間の経過
債権 10年間
債権・所有権以外の財産 20年間
定期給付債権 5年間
短期消滅時効にかかる債権であっても、確定判決等によって確定した債権 10年間
第百七十三条
次に掲げる債権は、二年間行使しないときは、消滅する。
第百七十四条
次に掲げる債権は、一年間行使しないときは、消滅する。
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民法を学ぼう 取得時効
取得時効
対象権利
所有権
百六十二条
二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
用益物権
地上権・永小作権・継続的に行使され外形上認識できる地役権
第百六十三条
所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。
所有権の取得時効の要件
所有の意思をもってする占有
自主占有・自分が所有者であるという意思をもってする占有。
他主占有・所有の意思を持たずにする占有。
所有の意思の有無は占有取得原因の客観的性質により決まります。(最判S45.6.18)
直接占有または間接占有でも構いません。
占有の性質の変更も可能です。
第百八十五条
権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。
平穏・公然
平穏とは暴力等によらないこと、公然とは秘匿しないことです。
他人の物
二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
一定期間の占有
第百八十六条
占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
占有開始時に自己に所有権があると信じることにたいし、善意・無過失であれば10年間(短期取得時効)、それ以外の場合は20年間で取得時効が成立します。
善意・無過失は占有開始時であれば足ります。(後に悪意、有過失になっても適用します。)
占有は継承可能です。
第百八十七条
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民法を学ぼう 時効
時効
一定期間継続した事実を尊重し、それに即した権利変動を生じさせる制度です。
取得時効
一定期間の占有によって権利を取得する。
消滅時効
一定期間の権利不行使によって権利が消滅する。
時効制度の意義
長時間継続する事実状態を尊重することにより、その事実を前提とした社会秩序・法律関係に維持を図る。
長時間の経過により、証拠の保全が困難になることに対する救済を図る。
権利の上に眠る者は保護しない。
権利失効の原則
権利の行使は信義誠実にこれをなさなければならず、長期間権利を行使しなかったため、相手にもはやその権利が行使されないと正当な信頼を抱かせた場合には、もはやその権利の行使は許されないとする。
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民法を学ぼう 期限と期間
期限
法律行為の効力の発生・消滅又は債務の履行を、将来必ず到来する事実の発生にかからしめることです。
期限は、始期、終期、確定期限、不確定期限とに分類されます。
期限の利益
期限の利益とは、期限の到来しないことにより当事者の受ける利益のことです。
(例えば、金銭を借りた場合、返済の期日まで返済しないでいいという利益です。)
期限の利益の放棄
債務者と債権者の双方が期限利益を享受している場合、債務者は(または債権者)は債権者の喪失する利益をてん補すれば、期限の利益を放棄を出来ます。
期限の利益の喪失
第百三十七条
次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
期間の計算
起算点
満了点
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民法を学ぼう 条件
条件
条件とは違法行為の発生又は消滅を、将来の不確定な事実の成否にかからしめることです。
停止条件
条件の成就により法律行為の効力が発生する。
解除条件
条件の成就により法律行為が停止する。
条件を付けることのできない法律行為
公益上
公序良俗または強行法規に反するもの。
(婚姻、認知、養子縁組、相続放棄、承認等の身分行為)
私益上
相手方が不利益になる行為。
(相殺、解除、取消、買戻し、選択債権等)
※相手方の同意がある場合や、停止条件付債務の免除のように、相手方不利益を得なければ可能です。
条件の種類
不法条件
条件となる事実の内容を不法行為を行うこと、又はしないこと。
第百三十二条
不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。
不能条件
第百三十三条
不能の停止条件を付した法律行為は、無効とする。
純粋随意条件
第百三十四条
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。
※債権者の意志のみにかかるとき、及び解除条件は純粋随意条件であるときは有効。
条件付権利
意義
条件が付された法律行為の当事者の一方は、条件が成就すれば利益を受けることができるという期待感を有します。
百二十八条
条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。
第百二十九条
条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。
条件成就の妨害
百三十条
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
※妨害により不成就になったこと、すなわち妨害がなければ成就したであろうという蓋然性が必要です。(判例)
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不貞慰謝料請求の判例 case.9
浮気・不倫が判明した際、一つの答えとして選択されるのが離婚。
もちろん、離婚事由は浮気や不倫が全てではありませんが、、、。
皆さんは、離婚の件数についてご存知でしょうか。
今や3組に1組の夫婦が離婚している等という話を耳にしますが実際どうなのでしょう。
離婚の件数は厚生労働省が公表している為、その数を知る事が出来ます。
本当であれば、不倫の件数も判明すれば尚わかりやすいのですが、統計事態が不可能なので、不倫の件数については把握出来ていません。
厚生労働省が公表した情報によりますと、
2012年(平成24年)の婚姻件数は約67万件。
離婚件数は23万5千件。
単純に計算しますと、離婚の割合は実に35%と若干ではありますが、予想よりも多い結果となっています。
参考までに、1970年(昭和45年)の婚姻件数は約102万件。
離婚件数は9万5千件。離婚の割合は約10%となっています。
1970年以来離婚の件数が増えている事、離婚事由として配偶者の不貞がある事、不貞行為に基づく慰謝料請求訴訟が主要な訴訟類型となっている事から、離婚の件数同様、不倫の件数も増加していると思われます。(参考:不貞慰謝料請求の実務 著者 中里和伸弁護士)
~探偵の一言~
離婚件数の増加は予想通り、というか、感じるものがありましたが、婚姻件数もこれほど減少していたとは驚きです。
単純な人口の変化とは別に、生涯独身で過ごす方も増加しているということが背景にあるのではないでしょうか。
婚姻件数は減り、離婚件数は増加しと、あまり良い状況とは言えませんね。
この状況を生み出したのも、やはり不貞(浮気)の増加が原因の一つにあげられます。
人生をも狂わせる不貞行為。決して許されるものではありません。
不貞行為は不法行為ですので、基本的には不倫する方が悪です。
不法行為者を野放しにして自由にさせておく必要性は全くもってありません。
浮気・不倫行為にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
民法を学ぼう 無効・取消
無効・取消
無効
法律行為をしても初めから法律効果が得られないことです。
無効は原則として誰でも、だれに対しても、いつでも主張できます。
(行使期間に制限はありません。)
無効行為の追認
第百十九条
無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。
効力は将来に向かってのみ発生します。
取消
法律効果の結果をさかのぼって消滅させます。
取消権者
百二十条
行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
方法・効果
取消権の消滅
法廷追認
第百二十五条
前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
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不貞慰謝料請求の判例 case.8
今回は特に珍しい裁判例をご紹介します。
判例の紹介の前に、「期待可能性の意義」について少し説明します。
「期待可能性」とは、刑法上の法律用語であり、行為の当時、行為者が適法行為を行うことを期待出来る事を意味します。この期待可能性は、刑法の犯罪論では、責任要素の一つとされ、適法な行為を行う事が期待できないような場合においては、違法な行為をあえて選択したとは言えず、責任が阻却され犯罪が成立しないと説かれています。
具体的な例としては、強制された行為(例えば、銀行強盗をしないと殺すと脅迫されてやむなく犯罪を行う場合)などがあります。
民事の裁判例でもこの期待可能性の有無が問題となったと評価できる事案があります。
横浜地方裁判所昭和48年8月29日
父娘間の継続的肉体関係を秘匿して結婚することが、相手方男性に対して、父および娘の不法行為を構成するか否かが争われた事案でした。(相手方男性は妻とその父に対して慰謝料300万円その他結納金等の財産上の損害の賠償を求めた。)
本件では、妻が結婚(内縁)の前に父と肉体関係を持っていた事実を秘匿していたことがやむを得ないものであり、その事実を正直に相手方男性に対して事前に開示することを期待できない(期待可能性がない)として、父娘に不法行為責任が成立せず相手方男性の請求を棄却しました。(父および娘は結婚を契機として、肉体関係を断絶し、人間として蘇生しようとしていたことをうかがい知ることができた。としている。)
(参考:不貞慰謝料請求の実務 著者 中里和伸弁護士)
~探偵の一言~
今回は期待可能性についての判例でした。
今回のケースでは、一般的な人間が事実を知った時、驚き、結婚成立による幸福を失う危険があったと考えられました。
父や娘の結婚による幸福の祈念と情愛から秘匿は必然であって、開示を期待することは不能としたのです。
凄く簡単に言えば、「普通、言えないよねこんなこと。」という事です。
この「請求棄却」という結論が正しいかどうかは賛否が分かれるところかと思いますが、裁判官も相当悩んだことが想像できます。
裁判は、人と人が話合い、争い、結論が出ます。このような裁判例があると知ると、裁判というのは本当に難しく、どう転ぶかはわからないということが再確認できます。
不貞慰謝料請求の判例 case.7
不貞慰謝料請求するにあたって、必要となってくるものは複数あります。
その中のひとつが「不貞の証拠」です。
しかし、探偵や興信所といった調査会社は、お買いもの感覚で依頼できてしまうような安い値段ではありません。
では、この調査費用というものに関して、不貞慰謝料とは別に、損害賠償として請求はできないのでしょうか。
実は、調査費用の請求が認められている判例が幾つか存在します。
東京地方裁判所平成16年8月31日
『調査費用は、それ自体は本件不貞行為と相当因果関係がある損害と評価することは出来ないが、そのような出費をしたことは、慰謝料算定の一事由となる』
対して、否定した裁判例も、、、
東京地方裁判所平成22年2月23日
『被告は当初から本件調査の範囲外の時期における不貞行為の事実を認めており、調査費用は不法行為と相当因果関係のある損害として認める事は出来ない』としています。
~探偵の一言~
今回は、不貞行為の証拠収集にかかった調査費用についてでした。
これから、探偵・興信所に相談しようと考えている方がいれば、意外と盲点だったのではないでしょうか。
慰謝料請求とは別に、調査費用も返ってきたら、文句なしの大勝利と言えます。
ただ、調査費用については不貞行為の立証に必要であったか否か等により、その請求の可否が決まり、仮に請求が出来るにしても、額は制限される可能性が高いです。調査失敗を繰り返し膨大な費用になったとしても、証拠収集が上手に出来なかった場合、尚更、調査費用は全部が全部必要なものだったのか、と問いただしてくるでしょう。
弊社では、ご依頼者様から不法行為者の情報をお聞きし、どのような調査方法であれば、無駄なく証拠を収集できるかを話し合います。時にはご依頼者様も交え、いわゆる作戦会議を行います。これは至極当然のことであって特別なことではありません。最善の調査方法とプロの調査力で証拠を収集します。
この調査は本当に必要なのか、どこまで対象者を追えばベストか、などを常に考え、無駄な調査は致しません。
「価値ある証拠」と「価値ある調査」を皆様にご提供します。
不貞慰謝料請求の判例 case.6
パートナーに不倫をされた場合、慰謝料請求が出来るのは皆さんご存知のはず。
一般的に、離婚覚悟であれば、パートナーと不倫相手双方に慰謝料請求をする方が多数派です。
では、この慰謝料請求、当事者が婚姻関係ではなく、「内縁関係」であった場合、請求は認められるのでしょうか。
内縁とは—内密の結婚。結婚の意思で男女が同居しているが法律上の届出(とどけで)をしていないこと。を言います。
実は、一般的には当事者が内縁関係であった場合、不倫相手の故意・過失の成立が認められにくいのが現状です。
東京地方裁判所(平成15年8月27日)は当事者間が内縁関係の事案において、次のように判示し不法行為は成立しないとしました。
「不倫相手は当事者らが同居している事、ましてや内縁関係にある事は知らず、ただ単に交際している女性がいるという認識しかなかった事、しかも当事者から、交際している女性とは別れたと告げられたことから、性交渉を持ったものと認められ、これを覆すに足りる証拠はない。そうすると、性交渉を持ったことに故意または過失があったとはいえない為、損害賠償請求は認められない。」
~探偵の一言~
今回は内縁関係が婚姻関係と同等の扱いを受け、慰謝料請求が認められるか、という判例でした。
結果、現状、認められにくいようです。
婚姻関係の場合には戸籍にその旨の記載があり婚姻関係を証明することが出来ますが、内縁の場合はそのような事が出来ません。この違いが大きいのではないでしょうか。
そもそも、不倫相手は当事者が婚姻していると本当に知らないケースもあります。
その判断材料となるのが、調査で得た情報になります。行動、会話、場所、時間、様々な要素で不倫相手が当事者にとって、どのような存在なのかを暴いていくことが可能です。
弊社では、入手できる情報は余すことなく入手致します。
調査リスクと情報の重要性を天秤にかけ、ご依頼者様がご満足できる調査をご提供致します。