先取特権・2
順位
一般の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第三百六条各号に掲げる順序に従う。
2 一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。
一般の先取特権相互間の順位
1・共益費用
2・雇用関係
3・葬式費用
4・日用品供給
動産の先取特権の順位
同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。この場合において、第二号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。
3 果実に関しては、第一の順位は農業の労務に従事する者に、第二の順位は種苗又は肥料の供給者に、第三の順位は土地の賃貸人に属する。
不動産の先取特権の順位
第三百三十一条
同一の不動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第三百二十五条各号に掲げる順序に従う。
2 同一の不動産について売買が順次された場合には、売主相互間における不動産売買の先取特権の優先権の順位は、売買の前後による。
※登記の先後は関係ありません。
同一順位の先取特権者の優先弁済権
同一の目的物について同一順位の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。
特別な効力
第三取得者との関係
第三百三十三条
先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。
※この引渡には占有改定も含まれます。(大判T6.7.26)(賃借権や質権者は含まれません。)
動産質権との順位の関係
先取特権と動産質権とが競合する場合には、動産質権者は、第三百三十条の規定による第一順位の先取特権者と同一の権利を有する。
※動産質権者が先取特権者を知っていた場合、動産質権者は優先権を行使できません。(330条2項)
一般の先取特権の効力
一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができない。
2 一般の先取特権者は、不動産については、まず特別担保の目的とされていないものから弁済を受けなければならない。
3 一般の先取特権者は、前二項の規定に従って配当に加入することを怠ったときは、その配当加入をしたならば弁済を受けることができた額については、登記をした第三者に対してその先取特権を行使することができない。
4 前三項の規定は、不動産以外の財産の代価に先立って不動産の代価を配当し、又は他の不動産の代価に先立って特別担保の目的である不動産の代価を配当する場合には、適用しない。
登記のない一般の先取特権の対抗力
一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし、登記をした第三者に対しては、この限りでない。
※一般の先取特権も登記はでき、民法177条により、登記した第三者に対抗できますが、不動産の保存・工事の先取特権には劣後します。
不動産保存・工事に先取特権の抵当権に対する優先力
不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない。
不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。
2 工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。
前二条の規定に従って登記をした先取特権は、抵当権に先立って行使することができる。
※不動産売買の先取特権に関しては、特に定めがないため、原則どおり登記の先後に優先します。
株式会社J.P.A.(Japan Progress Agency)