請負

第六百三十二条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

※諾成・有償・総務契約です。

請負人の義務・責任

・仕事完成義務

・完成物引渡義務と所有権の帰属

判例

所有権の帰属に対し、材料の提供者を基準に出されています。

・注文者が材料の全部又は主要部分を提供した場合

特約がない限り、所有権は原始的に注文者に帰属されます。(大判S7.5.9)

・請負人が材料の全部又は主要部分を提供した場合

原則として請負人に帰属し、引渡によって注文者に移転します。(大判T3.12.26)

完成建物の所有権は注文者に帰属する特約があれば、建物の完成と同時に注文者に帰属します。(大判T5.12.13)

注文者が代金の全部又は大部分を支払っている場合はこの特約があると推認されます。(大判S19.7.20)

目的物の減失・損傷

完成が可能な場合

請負人はなお仕事完成義務を負います。

請負人に帰責事由がある場合

注文者は請負人に対して、別途履行遅滞を理由とした損害賠償を請求できます。(415条)

注文者に帰責事由がある場合

注文者は請負人の仕事を妨げない義務があるため、義務違反を理由に注文者に損害賠償請求ができます。

双方に帰責事由がない場合

注文者が仕事の完成に対して報酬を支払えば足り、請負人は増加分を自ら負担して、仕事を完成させる義務を負います。

完成が不可能な場合

請負人の仕事完成義務は履行不能となり消滅します。

請負人に帰責事由がある場合

注文者は請負人に対して、履行不能を原因とした損害賠償を請求し、(415条)契約を解除できます。(543条)

注文者に帰責事由がある場合

請負人の仕事完成義務は消滅しますが、報酬請求権は存続します。(536条2項)

※請負人が義務を逃れて得た利益(残りの工事で必要だった人件費や材料費)は注文者に返還します。(最判S52.2.22)

双方に帰責事由がない場合

仕事完成義務は消滅し、報酬請求権も消滅します。(536条1項)

報酬の支払時期

第六百三十三条 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。

 

 

 

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