「妻の浮気」に直面した夫の心情
「まさか、うちの妻が──」
そう語る男性たちは、決まってどこか現実感のない表情をしているように感じます。
探偵として数多くの浮気調査を担当してきましたが、「妻の裏切り」という現実に直面した夫の心情には、特有の揺らぎがあるように思います。
浮気の兆候に気づいても、すぐに疑いたくないというのが多くの夫の本音。
「忙しいのかも」
「疲れているんだろう」
そんなふうに自分を納得させようとします。
なぜなら、「妻は味方である」という前提が、長年の夫婦関係の中で強く根付いているからです。
けれど、確実に変化していく態度、目を見て話さなくなる、スマホを手放さなくなる・・・
日々の中に浮かぶ違和感が、やがて確信へと変わっていく瞬間、夫は「心の裏切り」を突きつけられます。
妻の浮気に直面した夫の心は、ただ悲しいだけではありません。
「自分の何がいけなかったのか」
「男としての価値を否定されたのか」
そういった自責と怒りが交錯します。
男性の場合、「感情を言葉にすること」に慣れていない人も多く、外からは冷静に見えても、心の内側は荒れ狂っている――
そんなケースが多々あります。
特に、お子さんがいる場合は「家庭を守りたい」という思いと、「このままではいけない」という思いが葛藤します。
私たち探偵にご依頼が来るとき、夫たちはただ浮気の『証拠』を求めているわけではありません。
本当は、「何が起きているのか」を知りたいのです。
裏切りが確かだとしても、それを自分の中で整理するための『答え』を求めているのです。
証拠を手にした瞬間、多くの夫が静かにうなずきます。
怒りでも、涙でもなく、「やっぱりな」という、痛みを含んだ納得・・・
それが、前に進むための第一歩になることを、私たちは何度も見てきました。
夫婦という関係は、どちらか一方だけが努力すれば成り立つものではありません。
しかし、裏切られた側の痛みや混乱を受け止める居場所は、世間にはまだまだ少ないのが現実です。
だからこそ、私たち探偵の役割は、ただの「調査屋」ではなく、真実を明らかにし、ご依頼者様が「どう生きるか」を選びなおすお手伝いをすることだと思っています。