探偵からの“営業電話”
『一度相談しただけなのに、なぜ何度も連絡が来るのか?』
『一度、探偵事務所に相談しただけなのに、その後何度も電話がかかってくる…』
数年前から、こうした声が増えてきています。
浮気調査、行方調査、素行調査・・・。
どんな調査であれ、探偵に相談するという行動には大きな勇気が必要です。
多くの方は、誰にも知られたくない悩みを抱え、心の中で葛藤した末に、ようやく「相談してみよう」と決断されます。
ところが、いざ相談した後、探偵事務所から立て続けに営業電話がかかってくる…。
「その後、お気持ちはどうですか?」
「証拠は早く取らないと意味がないですよ」
「いつ調査を開始しましょうか?」
そうした電話のたびに、かえって不安が増したという方も少なくありません。
今回は、「探偵事務所からの営業電話」というテーマを通じて、ご相談者様のプライバシーや意思を尊重するという本来あるべき探偵の姿勢についてお話しさせていただきます。
■ なぜ探偵事務所から営業電話がかかってくるのか?
まず、営業電話がかかってくるパターンは以下のような場合が多いです。
・一度、無料相談を利用した
・資料請求をした
・面談に行ったが、その場では契約しなかった
このような「連絡先を伝えている状態」にあると、相談後に電話がかかってくる可能性があります。
もちろん、初回のご相談後に
「何か進展がありましたか?」
「ご不明点はありませんでしたか?」
といった連絡が一度来る程度なら、良心的なフォローと受け取る方もいるでしょう。
しかし問題なのは、その後も繰り返し、半ば急かすような口調で電話をかけてくるケースです。
■ 「調査は早い方がいい」は正論の時もある。でも…
「浮気の証拠は時間が経つと取れなくなる」
「ご主人は警戒し始めていますよ」
「今なら調査費用も抑えられます」
確かに、調査はタイミングが重要であることは事実です。
ですが、それを“営業トーク”として何度も繰り返し使われると、ご相談者様は次第に追い詰められたような気持ちになってしまいます。
そもそも、調査を依頼するということは、人生の一大決断です。
・離婚を視野に入れるか
・夫婦関係を修復するのか
・家族や子どもにどう説明するのか
そうした背景を考えると、すぐに決められないのは当たり前です。
にもかかわらず、「まだ決めていないんですか?」といった調子で何度も電話が来ると、まるで相談したことを後悔するような気持ちになる方もいます。
■ ご相談者様の「秘密」をどう守るか
もう一つ大きな問題は、「プライバシーの配慮」に欠ける点です。
例えば、相談時に「平日昼間は出られない」と伝えているのに、勤務中に電話がかかってくる。
または、家族の前で着信を見られてしまい、「誰から?」と聞かれて冷や汗をかいた──そんな声も実際にあります。
探偵に相談するという行動自体が、他人に知られたくない「秘密」のはずです。
にもかかわらず、営業電話によってその秘密が漏れてしまうリスクがあるとしたら、それは本末転倒です。
私たち探偵にとって、秘密を守ることは、調査と同じくらい重要なことなのです。
■ しつこい営業電話を避けるには?
では、こうした営業電話を避けるにはどうしたらいいのでしょうか?
初回相談時に
「連絡は控えて欲しい」
「改めての連絡は不要です」
とはっきり伝えましょう。
また、 自分の連絡先の取り扱いについて確認しましょう。
個人情報の保護方針(プライバシーポリシー)がしっかりしているかどうか。
他社(下請け業者)と情報を共有していないかなども、念のため確認しておくと安心です。
信頼できる探偵事務所とは、
・必要以上に焦らせない。
・ご相談者様のペースを大切にしてくれる。
・「今すぐ契約を」と言ってこない。
そうした事務所こそ、信頼できる探偵事務所です。
■ 「営業電話のない探偵事務所」が理想
探偵業界の中には、広告や営業に力を入れている事務所もあります。
ご相談者様が「まだ決断できていない=取りこぼし」と見なされると、集中的に営業電話がかかってくることもあるようです。
もちろん、経営の視点で見れば「仕事を取る」ことは大切です。
ですが、本当にご相談者様に必要なのは、「急がせる声」ではなく、「寄り添ってくれる沈黙」かもしれません。
探偵の仕事は、証拠を取ることだけではありません。
調査が必要かどうか、今すぐ動くべきかどうか、その判断がつかないご相談者様に対して、強要するのではなく、静かに寄り添い、安心して前に進むことができるように頼ってもらえる存在であること。
それが、私たちが目指すべき姿だと考えています。
■ 最後に
信頼とは「契約書」に書かれるものではありません。
ご相談者様が「話してよかった」と思えたとき、その信頼は初めて生まれます。
だからこそ、営業電話を多用するような姿勢ではなく、ご相談者様の意思とペースを何よりも尊重する探偵でありたい。
「悩みを相談する」という行動は、決して軽いものではありません。
あなたの選択は、尊重されるべき価値があります。
どうか、ご自身のペースで。
そして、必要なときに、信頼できるパートナーを選んでください。