内縁の妻に裏切られ、慰謝料請求を決意
「籍は入れていなくても、人生を預けた人だった」
「法的に夫婦じゃなくても、心は完全に“家族”だったんです」
ご依頼者様(50代・男性)は、疲れた表情で当探偵事務所を訪れました。
仕事は都内の工場勤務で、30代後半からは夜勤を中心とした不規則な勤務。
私生活では、約10年間連れ添ってきた内縁の妻と暮らしていました。
2人は同じ会社で出会い、ご依頼者様が一度離婚を経験していたこともあり、結婚にはこだわらず“事実婚”の形をとってきました。
住民票の続柄は「妻(未届)」。
資産や貯金も共有し、彼女の親の介護もご依頼者様が手伝っていたといいます。
「家族より家族だった」とご依頼者様は振り返ります。
──だからこそ、「裏切り」は想像を絶する衝撃でした。
■ 少しずつ変わっていった日常
ここ数ヶ月、ご依頼者様は彼女の態度の変化に薄々気づいていました。
「夜のLINE返信が極端に遅くなった」
「休日出勤が増えた」
「香水の匂いが変わった」
そして何より、ご依頼者様が仕事から帰ったとき、彼女の目が合わなくなった。
「いつもなら『おかえり』って笑ってくれたのに、最近はスマホから目を離さない。
こっそりベランダで通話してるのも見たことがあるんです。
なのに俺が近づくと“実家の母と話してた”ってごまかす。……もう限界だと思いました」
とはいえ、結婚していない以上、束縛したくはなかった。
だからご依頼者様は、自分の不安が「ただの思い過ごし」であることを願って、当探偵事務所に相談に来られたのです。
■調査開始
ご依頼者様からのヒアリングで、彼女の勤務スケジュールと自由時間を把握。
「水曜の夜」「土曜の午後」に一人で出かけることが多いと聞き、そのタイミングで調査を開始しました。
調査開始から2回目の土曜日。
彼女は昼過ぎに家を出て、電車で渋谷方面へ移動。
渋谷駅前で30代前半の男性と合流しました。
二人は周囲を気にするそぶりもなく、腕を組みながら商業施設(ファッションビル)へ入りました。
1時間ほど商業施設を見て回ったあと、二人は渋谷センター街のカフェへ。
2時間ほどカフェで飲食をし、ラブホテル街へと移動。
そのまま、自然な流れでラブホテルへと入っていきました。
水曜日の夜にも、二人は密会。
今度は新宿駅近くの居酒屋に入り、2時間ほど飲食。
その後、またしてもラブホテルへ。
二人は警戒行動や変装などはなく、顔を寄せて歩く姿は“隠している”というより“公然の恋人”のようでした。
■ご報告
「やっぱり……そうでしたか」
証拠をまとめた調査報告書をご覧になったご依頼者様は、小さくため息をつき、ポツリと漏らしました。
「ありがとうございます。……やっぱり、な。
でも、こうして“事実”として目にすると、やっぱりキツいです。」
調査報告書には、彼女と浮気相手の男性が明らかに“肉体関係を伴う男女関係”であることが分かる写真・行動が記録されており、法的な証拠能力も十分なものでした。
■内縁関係でも慰謝料は請求できる。
「でも、俺たちは結婚してないんですよ。慰謝料とかって、取れるんですか?」
今回のように「婚姻届を出していない関係」でも、法律上の「内縁関係」に該当すれば、配偶者と同等の保護が受けられることがあります。
長年の同居、経済的依存、対外的な「夫婦関係」の周知──これらの要素がそろっていれば、不貞行為に対する慰謝料請求も可能です。
ご依頼者様の場合、10年以上の同居に加え、住民票・貯金・保険などや、親族付き合いの記録なども整っており、十分に「内縁関係」として認められる状態でした。
早速、連携している弁護士をご紹介させていただき、慰謝料請求の手続きが始まりました。
■裏切りの代償
慰謝料請求の手続きが開始された後、彼女はご依頼者様に電話してきたそうです。
「どうしてこんなことをするの? 私たちは籍も入れてないのに!」
ご依頼者様は淡々とこう返したといいます。
「10年一緒にいた。一緒に笑って、一緒に泣いて、親の介護までしてきた。
俺は“夫婦だ”って思ってた。それを君は裏切ったんだ。――これは、“けじめ”だよ」
その後、彼女は荷物をまとめて家を出ていったそうです。
慰謝料請求は認められ、彼女と浮気相手の男性の両者からご依頼者様に対して合計300万円が支払われる結果となりました。
■探偵として伝えたいこと
「結婚してないから、浮気されても仕方ない」
それは違います。
「籍を入れていない関係」にも、法的な尊厳があります。
人が人を信じて築いてきた時間は、紙の有無で測られるべきではありません。
浮気や不貞行為は、たとえ内縁関係であっても、立派な“裏切り”です。
そして証拠があれば、法的に対抗することができます。
今回のご依頼者様から最後に、このように連絡をいただきました。
「この10年が全部ウソだったとは思わない。
でも、最後にちゃんとけじめをつけられた。そう思えるだけで、救われた気がします」
(掲載許可ありがとうございます。)